第1章 出発までのあれやこれや (5/67)

大型台風接近

 市長始め、お歴々の壮行会も済み、いよいよ出発の前日になりました。日ごろの行いがよかったのか、前日にうん*が出ました。 こうなると次は大体3日後となり、3日後というと中国の西方4千キロ昆明になります。特急「はるか」も私のなにを運ぶということはなさそうです。

 しかし、おなかの調子はよくなったのですが、天気が悪くなってきました。なんと数年来最大の台風18号が九州に接近していたのです。

 気象庁の観測によると、台風18号は23日午前9時には、那覇市の北北西約180キロの海上を時速15キロで北上。中心気圧は930hpa(ヘクトパスカル)、中心付近の最大風速は45メートル。中心から半径200キロ以内は風速25メートル以上の暴風となっていて、台風がこのまま進むと、九州南部も23日夜遅くには、暴風域に入るおそれがありました。

 23日の夕刊には次のような見出しが踊っていました。

台風18号 九州に接近中
ここ数年で最大級の台風が九州に接近中。
大型で非常に強い台風18号は勢力を保ったまま奄美大島の西の海上を北上、23日夜には九州南部も暴風域に入る見込み。
                                 (23日18時現在)


 出発は翌日の午後3時40分です。気圧は930hpa(ヘクトパスカル) 930hpaというのは超大型台風です。ここ数年で最大の勢力などと人の気も知らないで報道しています。24日明け方にかけて九州に上陸との予想。まさか台風が来ているのに旅行もないでしょう。だれもがそう思ったことでしょう。

 しかし、そう思わなかった人がいます。どんなことがあっても訪中団には中国に行ってもらわないと困る人がいたのです。というのも中国に着いて翌日、公式の行事がびっしり決まっていて、もし台風で延期にでもなると、このすべての公式日程が流れるだけではすみません。飛行機から、汽車から、ホテルの予約からすべてキャンセルしないといけなくなるのです。
 
 さらに中国では、10月1日は中国建国50周年の記念式典があり、その後1週間のながーい休暇に入る予定になっているのです。ですから、どうしても明日中国に行ってもらわないと困るのです。その願いは台風まで届いたのでしょうか?

 23日夕方から夜にかけて、九州を離発着する飛行機の欠航が相次ぎました。この規模の台風となると、暴風域はいかなるコースをとっても関西国際空港をかすめてしまいます。 さらに深夜インターネットにアクセスして気象衛星「ひまわり」の画像を見ても、明日は関西を直撃しそうです。 「これはたぶん中止だな」と残念半分の気持ちのまま、眠りにつきました。


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